2008年文京区議会第2回定例会
日本共産党文京区議団
代表質問 いたくら美千代区議

2008年6月12日(木)


内容
中小企業への支援とまちづくりについて
保育園、育成室の「待機児童ゼロ」のために
民間福祉施設で働く職員の実態と処遇改善について





中小企業への支援とまちづくりについて
いたくら美千代区議
 2008年第二回定例会にあたり、私は、日本共産党の一般質問として、中小企業への支援について、保育園、育成室の待機児童対策と施設改修について、区の民間福祉施設で働く職員の待遇改善について、区長に質問いたします。


 はじめに、深刻な状況にある中小企業への支援について伺います。

 自民・公明政権が進めてきた「構造改革」は、法人税や配当課税の減税などで大企業と高額所得層の税負担を減らしてきましたが、その一方で、庶民の暮らしを痛めつけ、町の製造業・小売業は瀕死の状況にまで追い込まれています。それに追い討ちをかけているのが長引く不況と原油高の直撃です。
 
 このような中、3月には文京の地場産業である印刷・製本業の集積地の小石川3丁目で、製本業の経営者が家族を巻き込むという悲惨な事件が起きています。5月17日、私たち日本共産党区議団は、小竹ひろ子都議と関係者総勢十六名で小石川・白山地域で営業されている会社を訪問し、売り上げや資金繰り、コストの変化や後継者問題など、現状と具体的な要望をお聞きしてきました。経営の現状や、これらの地域が住宅街に変容している実態を目の当たりにし、「新住民との摩擦」問題も事件の背景にあることなどをお聞きすると、あの事件は「一製本事業者の特別な事件」として片付けられる問題ではなく、文京区のまちづくりの基本に関わる重大な問題であると認識しました。

 製本業の方々からは、「今日で廃業した」という事業所もあり、「仕事量は5、6年前の3分の1に激減、特にこの2、3年がひどい。その上、単価が切り下げられ、正規社員はとても雇えず、家族でやっている。」など、訪問したほとんどの方から共通して出されたのは、将来の展望がみえないことに加え、異常な単価の引き下げ問題でした。最近は、発注者から印刷・製本へと流れるのではなく、企画会社に丸投げをすることが多くなり、なおさら単価が安くなるとのことです。業界内で仕事の奪い合いとなっていること、まさに自分さえよければという状況になってしまった。また、「親会社が埼玉県などへ移転し、機械を搬入して一緒にやってくれないかと言われたが、それについていけない、そうなれば廃業せざるを得ない」など、深刻な声が次々と出されました。

 また、最近の原油高騰で、出来上がった製品の梱包に使うラップや、紙、インク、溶剤などの値段が大きく上がったけれど、価格に転嫁できず自腹を切っている、何とか手を打ってほしい、という切実な声もたくさん出されました。業況悪化に加え、原材料の価格高騰によって、倒産に追い込まれる事業所もあったと聞いておりますが、こうした影響を本来なら区が調査し、実態を把握して必要な手立てを講ずるべきですが、どう対応してきたのでしょうか。また、区の「景気対策本部」は、この間どのような役割を果たしてきたのでしょうか、伺います。今こそ、管理職全員が参加して事業所悉皆調査を行い、全庁あげての取り組みとし、必要な対策を急いで講じるべきと考えますが、区長の答弁を求めます。

 原油高が及ぼす影響に対して、足立区では、1月の段階で区の支援策を検討するために、区内の中小企業の現状を把握するため事業所調査を行ってきました。また、品川区では、原油や素材の高騰で経営が苦しくなっている中小企業を支援するために、六月から業種を問わず限度額5百万円、本人負担0.3%で返済期間66ヶ月以内という融資あっせんを始めると報道されています。わが区では、すでに本人負担0.3%で返済期間74ヶ月という融資制度があるわけですから、有効で迅速に活用できるよう事業者にアピールし、中小企業支援のために全力をあげるべきです。そのためにも、私たちが一貫して要求してきた「中小企業振興基本条例」を早期に制定するとともに、長期・中期・短期の振興計画の確立を急ぐべきと思いますが、区長の決断をもとめます。

 また、原油価格の高騰は、2007年度の「エネルギー白書」でも3分の1が投機マネーによる押し上げ分と認めています。国に対して、投機マネーを規制する対策を早急に取ることを求め、伺います。

 まちづくりの問題では、1996年に策定された区の都市マスタープランでは、小石川・白山の千川通り沿道は、「低中層住工共存市街地」と位置づけられています。環境改善の課題として、「印刷・製本を中心とした事業所と住宅が混在し、細街路や行き止まり道路が多い密集市街地となっており、今後とも住工が混在した市街地が形成されていくので、生活道路をはじめとする都市基盤の整備、住環境とともに産業活動にも適した市街地の整備を図っていく必要がある」とされています。

 しかし、計画策定時の状況よりも町の変化はスピードを上げて進み、廃業や移転した跡地には、マンションや戸建住宅が次々と建設されて、マスタープランに掲げるような産業活動と住環境が調和できる状況ではなくなってしまい、新旧住民同士の対立にもつながりかねないという環境の変化を、区はどのように認識しているのでしょうか。また、これらの地域のまちづくりをどう進めようとするのか、早急にビジョンを示すためにも、区自らが実態調査を行うべきと考えますが、答弁を求めます。






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(区長答弁)
 最初に、中小企業への支援についてのいくつかのご質問にお答えします。

 はじめに、区内企業の実態を把握し、必要な支援策をとるべきとのお尋ねですが、区内中小企業を取り巻く実態につきましては、下請け相談員が区内中小企業に直接訪問するなどにより、経営状態や資金繰りなどの聞き取り調査を実施しております。さらに、四半期ごとに実施している景況調査において、調査員が印刷・製本企業を含む区内中小企業の実態を調査しております。

 さらに、本年度からは経営相談員も直接各中小企業を訪問し、適切な指導・助言を行うなどして、それぞれの事業所の実態把握に努めることとしております。また、毎年開催しております「区内産業団体等との意見交換会」において、それぞれの業界の実情を話し合い、各団体からの意見や要望を中小企業振興策に反映させているところでございます。

 次に、景気対策本部の役割についてのお尋ねですが、景気低迷の長期化に伴い、区内中小企業の経営安定と振興対策を迅速かつ総合的に推進するため、平成10年度に景気対策本部を設置し、この間「緊急事業資金」や「経営環境変化対策資金」等の不況業種向けの低利融資あっせんや経営アドバイザー制度の創設などの景気対策を実施しております。今後も区内中小企業支援のため、有効かつ迅速な景気対策を引き続き実施してまいります。なお、先程ご答弁申し上げました下請け相談員及び経営相談員による訪問の際に、経済課職員も同行するなどして、中小企業の実態把握に努めていくとともに、区の融資制度についても積極的に周知を図ってまいります。

 次に、中小企業振興基本条例及び振興計画の制定についてのお尋ねですが、基本構想において、中小企業の活性化や振興を図るための各種施策を総合的に体系化し、本年3月に策定した基本構想実施計画において3年間の具体的な事業展開をお示ししたところでありますので、ご提案の条例等を制定する考えはございません。

 次に、投機マネーの規制についてのお尋ねですが、この問題は一国のレベルを超えたグローバルな市場経済に関する問題であると認識しております。

 次に、千川通りのまちづくりについてのご質問にお答えします。千川通り沿道においてマンションが建設され、土地利用の変化がでて来ていることは、認識しております。今後の千川通りのまちづくりについては、来年度から始まる都市マスタープラン改定作業の中で、土地利用の変化や地域特性を踏まえて、検討してまいります。






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保育園、育成室の「待機児童ゼロ」のために
いたくら美千代区議
 次に、保育園・育成室の「待機児童ゼロ」を求め質問いたします。

 今年4月1日現在の保育園待機児童数は124名で、昨年の2.6倍になっています。

 私もある母親から、「5人目の子どもが入所できず、昼間は、ひいおばあちゃんにお願いしていて、きびしい」と訴えられました。待機児解消は、区政にとって、まさに喫緊に対応が迫られる課題となっています。

 私どもは、かねてより、「区立保育園の増設と保育定員の抜本的な見直し」こそ、問題解決の基本だと指摘し、その実現を求めてきました。いま区が、全庁的に「保育園待機児童緊急対策会議」を立ち上げたことは、遅きに失したとはいえ、歓迎すべき対応だと考えますが、以下区長に伺うものです。

 第1は、区長は、「人口20万人回復大作戦」を宣言し、「子どもたちと高齢者への応援歌」と命名した今年度予算で、「育児と仕事の両立」を支援する事業の拡充を図ろうとしていますが、是非とも「保育園待機児童ゼロ」宣言もしていただいて、これから文京を支える、30から40歳代の共働き層の区民の願いに応える決意をさらに固めてほしいと思いますが、いかがでしょうか、お答えください。

 第2は、「緊急対策会議」で検討されている認可保育所の定員改定にあたっては、1歳児、2歳児を中心にした大幅な見直し、また公・私立幼稚園における預かり保育・長時間保育の実施・拡大を求めますが、伺います。

 第3は、待機割合や待機児童数が多い、久堅、水道、しおみ、本郷保育園など4園を中心に、待機児解消を図ろうとする議論の一つである認可保育所の分園化については、園運営の効率性でもメリットが少ないとも言われており、職員との十分な検討が必要だと考えます。むしろ本郷保育園から700メートルエリアにある旧元町小学校校舎の活用など利用可能な区有施設、またエリア内の公有地の積極的な活用で、認可保育所の増設を真剣に検討することこそ問題解決の鍵ではないかと考えますが、伺います。

 第四は、既に2回開かれている「緊急対策会議」の性格についてです。待機児解消は、短期的な対策も中期的な計画のどちらも緊急を要する課題だけに、逆に中間のまとめやパブリックコメント、議会への報告の時期などをはっきりさせる必要があります。今後のスケジュールをお聞かせください。

 一方、喫緊の課題だということで急ぐあまり、関係団体との意見交換や検討の機会がほとんどないのでは、と懸念されます。「次世代育成支援行動計画」が、2010年度に見直されますが、その時の区民参画ではあまりにも遅いと考えます。再考すべきだと思いますが、どうか伺います。

 次に、学童保育について伺います。

 この間、増大する学童保育の要望に「鍵っ子はつくらない」という立場で応えてきた文京区も、さらなる需要増の前に、今年度は16名の待機児童が出てしました。

 私たち区議団は、5月、暫定的に50人定員を受け入れた六カ所の学童保育施設を訪問いたしました。新学期からまだ日が浅いにもかかわらず、聞き取りのなかで、50名の受け入れは子どもたちに大きな負担となっている様子を知ることが出来ました。狭い部屋のなかで、ぶつかり合うなど、小競り合いが起きる、興奮状態が続く、隙間がないなど、マイナス面が目立ってくること。なかでも、ひとりの子どもの話を聞いてあげている時に、すぐに話をしたい次の子どもに対して「ちょっと待ってね」と待たせることが多くなったり、子ども同士、お互いの名前を覚えきれないで「あの人、その人」と指をさしているという話に心を痛めました。

 区は、50人定員の育成室を解消するために抜本策を講ずるとともに、千石と千石西育成室に50人、駕籠町育成室に四四人を受け入れても、なお待機児童が出ているこの地域には、学校施設の暫定活用を含め、育成室の新増設が必要ですが、伺います。

 保育園・育成室・児童館などの施設改修も急がれます。

 耐震補強工事の計画がある千石育成室では、工作室や障害のある子どもの居場所としても必要な部屋を、育成室の外側へサンルーム的につくること。またボロボロで背にガムテープが張り巡らされている千石児童館の跳び箱、白山東育成室の事務室前のコルクタイルと、半分しか作動していないエアコンの改修を急ぐこと。さらに、根津・千石のトイレ、内装工事が必要な水道児童館・育成室の改修、柳町第二育成室の入口階段には、雨の日、下肢障害があり杖を使う子どもが傘をさせないので、屋根を設置するなど至急改善を求め、伺います。






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(区長答弁)
 次に、保育園の待機児童解消について、いくつかのご質問にお答えいたします。

 まず、30歳から40歳代の共働き層の区民の願いに応える決意についてのお尋ねですが、ご案内のとおり、本年度予算につきましては、「子どもたちと高齢者への応援歌」と位置づけ、特に「子育て支援施策」と「高齢者施策」を最重点施策として取り組んでいるところであります。

 待機児童対策につきましては、現在、全庁的な検討組織を立ち上げて検討をしているところですが、これらの検討結果を踏まえ待機児童対策のみならず、様々な施策の充実を図ることにより、ご指摘の30歳から40歳代の共働き層も含めた、あらゆる子どもたちと子育て世帯に対する支援を行ってまいります。

 次に、認可保育園の定員改定と幼稚園の預かり保育・長時間保育の実施、認可保育園の分園設置や増設に関するお尋ねですが、ただいま、ご答弁申し上げたとおり、保育園待機児童緊急対策会議を設置しているところですが、その中で保育所定員の改定や多様な保育サービスの提供、既存施設等を活用してのスペースの確保等、あらゆる可能性について検討を行っているところであります。

 次に、保育園待機児童緊急対策会議の中間のまとめやパブリックコメント、議会報告の時期も含めた今後のスケジュールについてのお尋ねですが、保育園待機児童緊急対策会議での検討内容につきましては、秋頃にその概要をお示ししたいと考えております。その結果については保育計画についての緊急対策の追加として、地域福祉推進協議会に報告し、地域福祉計画策定にあたってのパブリックコメントを実施する予定であります。それにより区民意見が反映されるものと考えております。

 次に、育成室の待機児童対策に関するご質問にお答えいたします。


 育成室の50名定員については、待機児童解消のための緊急避難的な対応として行っているものであり、50名定員の解消を図るため、利用者の状況に留意し、適切な対応を行ってまいります。また、千石地域については、現在の待機児童が発生している状況から、待機児童の解消を図るべき地域と認識しております。

 次に、保育園・育成室・児童館などの施設改修等についてのお尋ねですが、これまでも、施設の現地調査等を行い、計画的に改修・修繕を実施しているところでございます。今後とも、施設の各所改修等につきましては、その必要性や緊急性を勘案しながら、行ってまいります。







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民間福祉施設で働く職員の実態と処遇改善について
いたくら美千代区議
 最後に、区の民営福祉施設で働く職員の実態とその処遇改善を求め伺います。

 「官から民」へのかけ声で、「指定管理者」、「委託」により、福祉労働者は、徹底的なコストダウン競争の下に置かれています。私たち日本共産党区議団は、先月、介護施設と公設民営化された児童館・育成室、保育園などを訪問し、その職場環境と働く条件、現場の要望などつぶさに伺ってきました。私たちはどこでも暖かく迎えられ、大変率直に悩みや要望が出され、「どうか区議会の皆さん頑張って改善してください」と、願いが託されたのが印象的でした。

 私たちが訪ねた区内特別養護老人ホームでは、「欠員が生じても埋まらない。超勤で何とかまわしている。」「看護師が定着しない。」「職員を募集してもほとんど応募がこない。」と、どこでも悩みは深刻でした。慢性的人手不足、そして低賃金、長時間労働などで職員が次々と辞めていき、定着しない状態が大問題となっています。

 「今や3Kならぬ12Kと言うんです。」と、ある施設長が語ってくれたところによると、12Kとは「きつい、帰れない、給料が安い、気が休まらない、汚い、臭い、結婚できない、子どもがつくれない、キリがない、休息できない、休暇が取れない、苦情が多い」などだそうで、他にも「化粧がのらない、薬に頼って生きている」というのも言われているそうです。大変な仕事なのに報われることが少ない実態がこの言葉に表れているではありませんか。

 そして、この人員不足によって、100床ある特養ホームのベッドのうち91床の入所しか受け入れられず、今後も改善の見通しが立たないという施設が出てきているのは看過できません。特養待機者が800人近く出ている時に、稼働しないベッドが出ていることは非常事態といわなければなりません。「高齢者への応援歌」という旗を掲げた区長の見解を伺います。 

 子どもたちの施設でも、同様の事態が起きていました。公設民営のある育成室では、昨年委託2年目にして職員が全員退職するという事態が起きました。入れ替わった施設長と主任に、「子どもたちの変化は」と尋ねると、「以前のことはわからないので、比較できないんですが」との返答は、まさに保育が断ち切れていることを示しています。昨年から勤務している男性主任は、月収が税込み21万円程度、「独身だから、まあやっていけますが、結婚は無理です」といっておられました。

 公設民営の2つの保育園では、いずれも今残っている設立当時の職員は園長、主任を含めて3人のみです。創設5年目の園では、正規、非正規合わせて15名のうち、設立当初からの職員3人を除く12名の職員で25人退職者が出ており、ちょうど2回転した計算になります。昨年の年度替りには9名退職しているのです。園長は、正社員でも1年契約の繰り返しで、初任給は手当てと税込みで16万5千円です。5年、10年と働き続けても昇給制度がなく、都内にアパート借りて通える賃金ではない。独身職員は、全員親元に住んで都外から通ってくるから生活できるのだと語ってくれました。まさにワーキングプアです。保育の質の蓄積、継承ができるようにして欲しいというのが園長先生の願いです。

 しかし、こうした苛酷ともいえる条件の中、どこでも共通しているのは、恵まれない労働条件の中で職員は懸命の努力をしていることです。ところが、頑張っても報われる報酬や労働条件ではなく、結局ほとんどが数ヶ月から1、2で離職し、経験の蓄積、継承はその都度断ち切られていかざるを得ないのです。保育士や指導員がしょっちゅう入れ替わるなど、子どもの精神形成にも影を落とすのではないでしょうか。

 子どもたちや高齢者などの施設で、公務員と全く同じ労働をその2分の1から3分の1の賃金で働かせるという、国と自治体主導の「官製ワーキングプア」が大量に生み出され、その結果人員不足や、職員が定着しないなど介護、保育などのノウハウの蓄積がされず、サービスの質の向上、継続性の担保もされないなど問題が多発しているのです。文京区でもアウトソーシングは成功していません。 

 区長は、公の施設でのこうした労働者と福祉の実態について、どのように認識しているのですか。答弁を求めます。

 昨年8月、厚生労働省は「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」を14年ぶりに改定し、給与など労働条件の改善策を打ち出しました。福祉施設職員の労働条件の改善は待ったなしです。この指針では、経営者に対しても「給与体系の検討に当たっては、国家公務員の福祉職俸給票等も参考とすること」と明記されるなど画期的なものです。さらに国、地方公共団体の役割として、従業員の給与や労働条件の調査、「労働関係法規の遵守等」のための経営者の指導監督や人材確保の取り組み、従業員に対する研修体制や相談体制の整備を求めているのです。

 千代田区では、今年度から総額3千550万円を一般財源から充当し、介護施設の非正規職員の正規職員格上げ、パート職員の時給引き上げ、住宅手当費用の支援、介護職員の資格取得や技能向上などの補助を始めました。文京区としても、この指針に基づいて介護施設、児童福祉施設、障害者福祉施設の就労実態をしっかり把握し、非正規の正職員化の促進、賃金・労働条件の改善、研修体制の整備等、支援を強化すべきです。区長の答弁を求めます。

 区内特養ホームの人員不足が原因の受け入れベッド減は、文京区として緊急に改善を図る必要があります。「区立という看板」は降ろさざるを得なかったというものの、区が作った区民の特別養護老人ホームであることは紛れもない事実です。区民の財産をまっとうに活用するのは区長の責務です。お答えください。 

 以上で、私の質問を終わりますが、答弁の如何では再質問を留保いたします。

 ご清聴ありがとうございました。





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(区長答弁)
 次に、区の民営福祉施設に関するいくつかのご質問にお答えします。

 まず、特別養護老人ホームに稼動しないベッドが生じているとのお尋ねですが、お尋ねの特別養護老人ホームにおける入所者数は本年6月1日現在満床に至ってはおりませんが、その主な原因としては、昨年12月から運営法人が変更したことと、一時的な入退所の差によるものと考えております。

 次に、福祉施設での労働者の実態についての認識、及び就労実態を把握し、賃金・労働条件の改善等、支援を強化すべきとのお尋ねですが、介護施設をはじめ、福祉施設における職員の身分保障、賃金・労働条件の改善等に関しては、基本的に経営者と従事者との労使関係の問題として、適切な雇用がなされるものと考えております。

 従いまして、区としては、議員ご指摘の指針を踏まえ、経営者が労働環境の改善に取り組むよう周知を図り、労働関係法規、福祉・介護制度関連法規を遵守し、適切な運営が行われるよう指導してまいります。

 最後に、区内特別養護老人ホームについて、区民の財産として活用せよとのご指摘ですが、先程ご答弁申し上げたとおり、今後は、定員どおりの入所者を確保するよう働きかけてまいります。








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